「CSRを積極的に実行している企業が中長期的にみて優良な投資対象となると考えられてきた背景の一つとして、今後政府が温暖化ガスの排出や水資源の利用に関連する規制を設定するようになるという観測があった。しかし、私は15年間それらの企業のリサーチを行ってきたが、企業の活動に決定的な影響を与えるような規制は作られて来なかった。それでも引き続き政府の規制や行動を意識して、持続可能な社会発展に沿った企業活動に投資をしていくべきなのだろうか?」
これに対し、パネルの一人、Aviva InvestorのChief Responsible Investment OfficerであるSteve Waygood氏が以下のような回答をしていました。
「Stern Reviewを引用すると、Climate Changeは市場の失敗の最たるものだ。市場の失敗は政府がこれを是正することが必要だが、政府がそれらの規制を作っていくことは今後も難しいだろう。グローバル化が進む中で現在のガバナンスのシステムはそれに適切に対応できるものになっていない。また産業界や金融界は積極的なロビー活動を展開していることもあって、政府が彼らにとって不利な規制を積極的に作っていくことは簡単ではない。ロビー活動の透明性を高めて行くことが重要だ。」
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政府は役割を発揮できるか |
Waygood氏はUN PRIを策定した専門家チームの一員であり、また国連が主導するSustainable Stock Exchange Initiativeの立ち上げにも関わっていました。質問に対する彼の回答と、彼の経歴を結びつけてみて感じることは、彼は恐らく政府からインセンティブを与えていくことに限界を感じており、企業がCSRに取り組むインセンティブを社会的責任投資や証券取引所が上場企業に対して課する条件を通じて与えようとしているのではないか、ということです。
Waygood氏の真意は分かりませんが、彼の発言もしっかりと踏まえつつ、引き続き企業がCSRに取り組むインセンティブについて考えていきたいと思います。
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